ポエム
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合唱
歌いたくても
何を歌えばいいか
分からない

そもそも
どんな歌を歌っていたのか
歌詞もうろ覚えでいて

歌を忘れた鳥のような私は
かろうじて覚えている
曲の記憶を紐解き

かつて歌った歌の
メロディーラインを
ハミングで口ずさむ

そのうち気分が乗ってきて
自分の奏でるハーモニーに
酔いしれていき

かつて
仲間達と声と声を調和させて
歌っていた頃の記憶を呼び覚ます

声と声の調和―合唱は
声と声の旋律のバランスを保ち
いかに美しく響かせることが肝心だから

独りよがりには歌えない
自由がないと
歯がゆく思うこともあったけれど

仲間達と織りなす歌の共鳴は
独りよがりではなしえない
かけがえのない美しいハーモニーだった

基本的に独りが好きで
個人の世界を謳歌してきた私が
唯一好んだ他者との共同活動

それが合唱だった

誰かと調子を合わせて
協力して何かをなし得ることが
こんなにも楽しいなんて

合唱をやるまで
知らなかった私

歌を通して
他者と関わることの喜びを
知った私

他者と関わることが
自己の抑圧ではなく
自分を出すきっかけになった

合唱は
私にとってそんな
貴重な体験だった

大学を卒業して
その仲間達と疎遠になり

みんなと声を出して
仲むつまじく歌っていた頃を
思い出しながら

かつて歌った曲の
メロディーラインを
時々口ずさむ





19/12/11 00:21更新 / アキ



談話室



■作者メッセージ
大学時代は
歌好きが高じて合唱サークルを作り
仲間達と歌を歌って
青春を謳歌していました!
すごく楽しかったです。

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