ポエム
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サンマを狙う現行犯
昨日買った
調理済みのサンマが
美味しくなかったからと

悔しさから
父は
また買ってきて
今晩もサンマ

機能とは違うのは
生のサンマを買ってきて
父が焼いたというところ

焼きたてのサンマ
良いにおいが立ち込める

その匂いにつられて
やっぱり来るよね

鼻をひくひくさせて
目線の先はサンマ一直線

家族が目を離したすきに
身を乗り出して
ちょいちょい
サンマに手を伸ばす

「こら!」
手と体を取り押さえられ
現行犯逮捕される
うちの泥棒猫

だが
この食欲の塊は
そう簡単には
諦めない

目線は相変わらず
サンマ一直線

食卓の傍らに
ちょこんと座り
すました顔

そう
まだ狙っている

スキあり!
てい!

ちょいちょいサンマをつつき
サンマを引き寄せようと
試みて

その度
「こら!」と叱咤され
現行犯逮捕される
泥棒猫

サンマをめぐる
攻防戦

サンマは柔らかく
ジューシーに焼けていて
飼い主の口の中で
ほろっととろける

その様子を
恨めしそうに見つめる
可愛い子

諦めるものかと
何度もちょいちょいを
繰り返す

こちらは
ゆっくり落ち着いて
食べられやしない

攻防戦が疲れたのと
ちょっと可哀そうになって

ついに飼い主は
根負け

サンマを一部
分けてやることに

「にゃあ」と
嬉しそうに鳴く
可愛い子は

はぐはぐ食べて
満足そうに寝転がる

かと思ったら
再び
サンマを探して
じっと見つめる

「シマ、もうサンマはないから
諦めな」

とっくにサンマは
なくなって
お皿の上にないのに

それでも
「もっとくれ」と要求してくる
食いしん坊猫

なんて食い意地の張った奴なんだ






21/09/14 19:21更新 / アキ



談話室



■作者メッセージ
今日の夕食の一場面です。
お読み下さりありがとうございます。

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