お月様
お月様が綺麗で息が出来なかった。瞬き一つ出来なかった。ただそれだけで止まるような呼吸ならば、ただそれだけで止まる心臓ならば、本望だと思った。大好きなお月様を見て果てる命ならばいいと。もう長いこと、「月が綺麗ですね」とは言わなくなったけれど、何一つ気持ちは変わってはいないよ。あの日君に喩えたお月様は、今もずっと綺麗なままなんだ。私の心はずっと君に奪われたままなんだ。息が苦しい。それだから恋をすることは辞められない。溺れれば溺れる程に、幸せだと思う。恋は中毒性が高いみたいだね。君は中毒性が高い。私はずっと、君に、夜空に浮かぶお月様に恋をすることを、辞められないんだ。