大嫌い、大好き
大嫌いで大好きな君のこと、僕はどれくらい知っていたかな。君が僕を大切に思ってくれていること、不器用だからそれが少しずれていること、どうしようもないくらいお人好しな所が大好きだった。無理をして色んなものを壊して、色んなことが出来て周りから頼りにされていて、僕なんていなくても寂しがるだけで生きていけるんだろうなって、そんなとこが大嫌いだった。僕なしでは生きていけなくなってしまえよ。そうして僕を求めろよ。僕がいなきゃ嫌だって言えよ。それを言わない君なんて嫌いで、それを言わないから僕は君が好きだった。今だって多分大好きだ。けれど大嫌いだ。僕を駄目にするのは君で、僕を前に進ませるのは君以外の誰かだ。全部が君である必要はない。そう分かっていたのに、全部、君がいいと、君以外を見なかった。君しかいなくて、君以外もいた。世界は一つなんかじゃなかったのに、一つだと思いこんでいた僕は本当に馬鹿だね。もう何も出来ないんだ。何でも出来るのに、何も出来ないんだ。こんな壊れた心で、壊れた身体で、何が出来るんだろう。分からないから探そうと思う。大嫌いで大好きな君に、僕を見てほしいから。