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大嫌い、大好き
大嫌いで大好きな君のこと、僕はどれくらい知っていたかな。君が僕を大切に思ってくれていること、不器用だからそれが少しずれていること、どうしようもないくらいお人好しな所が大好きだった。無理をして色んなものを壊して、色んなことが出来て周りから頼りにされていて、僕なんていなくても寂しがるだけで生きていけるんだろうなって、そんなとこが大嫌いだった。僕なしでは生きていけなくなってしまえよ。そうして僕を求めろよ。僕がいなきゃ嫌だって言えよ。それを言わない君なんて嫌いで、それを言わないから僕は君が好きだった。今だって多分大好きだ。けれど大嫌いだ。僕を駄目にするのは君で、僕を前に進ませるのは君以外の誰かだ。全部が君である必要はない。そう分かっていたのに、全部、君がいいと、君以外を見なかった。君しかいなくて、君以外もいた。世界は一つなんかじゃなかったのに、一つだと思いこんでいた僕は本当に馬鹿だね。もう何も出来ないんだ。何でも出来るのに、何も出来ないんだ。こんな壊れた心で、壊れた身体で、何が出来るんだろう。分からないから探そうと思う。大嫌いで大好きな君に、僕を見てほしいから。
19/11/09 17:54更新 / 雨月 涙空



談話室



■作者メッセージ
私はよく、「世界」という言葉を詩に置きます。
私のいう世界は、私の目に映る心に映るすべてであって、だからこそ目や心に映らない世界を知りたいと手を伸ばします。その手が届かなくたって構わない。伸ばすことが大切だから。私の世界は、私以外がいて、私を作ってくれます。だから私は、色んなことに、色んな人に、感謝を忘れずに生きたいです。

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