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あの人
変わらないでいて欲しいということが、我儘だということは分かっていて、それを押し付けてはいけないことにも気付いていて、私は私の想いをいつも言い訳みたいに考えて誤魔化してしまう。知らなかった、あの人がどんなことに傷つくのか、どんなことに涙を流すのか、聞いていたのに分かることも出来なかった。何が好きで、何に笑うのかは知っていたのに、その笑顔が、その好意が当たり前にあるのだと私はいつから勘違いしていたのかな。優しくしてくれた、沢山愛してもらった、それが続くことを疑わなかった。「大丈夫、許してくれる」その歪みが、あの人を追い詰めた。あんなに優しく笑うあの人の傷に気付けなかった。後悔は後悔でしかなく、それを次に活かすことは出来ない。あの人への後悔を次に活かすなんて、私には出来ない。あの人があの人でしかないように、私も私であることを変えられない。それでも私にとってあの人は、あの日々は迷うことなく「特別」だった。小さな幸せを沢山集めて笑うことが、いつか大きな幸せに積み重なっていくと信じていた、信じていたかっただけだった。ねえ、馬鹿みたいでしょう?空はずっと綺麗だったのに、馬鹿な私は空よりも綺麗なものに固執した。消え去らない痛みが、今でも優しく心を突くのです。「一緒に変わっていくこと」を2人で選べなかったから、変わって行く中で変わらないものが日々を照らしていくのでしょうね。
20/03/07 17:50更新 / 雨月 涙空



談話室



■作者メッセージ
過去は過去で、今に繋がっているのだと、こんなにも日々は優しいと、あの日々に教えることが出来たなら。変わっていることに気付きたくなかった、だけなんです。


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