爪痕一つ残せないのは
恥ずべきことのような気がした
あんなにも好きでいたのに
あんなにも必死になったのに
何一つにさえならなかったのかと
恨むべくは誰だろう
私が好きになったのは
私が必死になったのは
私の勝手だろうと
自分を諌めもするけれど
恋人にさえなれなくても
好きにもなってもらえなくても
傷痕一つくらいは
爪痕一つくらいは残したかった
君の宇宙の塵くらいにはなりたかった
そう思う夜だ

■作者メッセージ
後悔と呼ぶには余りにも軽い、羽根のような、想い。

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