僕は狡い
僕には家族も友だちもいて好きなこともあるくせに
君にそういう存在があることを妬ましく思う
自分は好きに生きているくせに
君には僕だけでいいのにと思ってしまう
分かっている
君が生きているのは
僕じゃなく僕以外の誰も彼もが君を支えていて
君が君なりに生きているからだと
分かってはいる
僕だってそうなんだから
人は一人では生きていけない
そんなこと誰でも知っている
けれど
一人では生きていけなくても
誰かとなら生きていけるのだろうか
一人で生きていけないなら
誰かと生きるなんて難しいんじゃないだろうか
我儘な僕は唯一を君に望むけど
自由に生きたっていいじゃないか
特別は欲しいけれどありふれたくはない
けれど
ありふれた存在でも
君の世界にいられるならいいか
そんな取り留めのないことをつらつらと考える
君には僕だけでいい
けれど僕以外がいたっていい
僕以上がいないならいいな
我儘を最大限表に出したって
僕の願いはそれくらいだ

■作者メッセージ
好きな人、好きだった人、好いてくれる人、好きになった人。
めぐり合わせとは不思議です。

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