ポエム
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行かないで
そんなことは言えなかった
自分が傷ついても知らないふりをする君が
誰かが傷つくことを何よりも厭う君が
初めて望んだことだったから
僕の傍にいないこと
僕の世界から消えること
僕を傷つけること
否 僕はもう傷つかないのだろう
とても冷たい人間なのだと分かっている
君がいなくてもとうに平気だったこと
君への想いは惰性だったこと
君以外には平等であろうと無理を重ねたこと
伸びた前髪で鋭くなる目つき
何もかもを許せないような
それでいて何もかもを諦めたかのような表情
死んでしまいそうな感情
すべてが僕と君では不似合いで
どちらも合わなかった
僕は君に合わなかった
君は僕が合わなかった
だから
行かないでなんて言う筈もなかった
まだ僕が君を好きだとしても
それすらいつかは霞むのだろう
だからいい
恩着せがましく僕は
君の手を離してあげる
それが君を愛した僕に出来る
最後の手向けなのだと思うから
20/03/14 23:42更新 / 雨月 涙空



談話室



■作者メッセージ
ままならないから生きているんですね

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