ポエム
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ごめんね
君には嘘ばかり吐いた
否、嘘さえ吐かなかった
指先が紡ぐ言葉も口から零れた音も
好きだという気持ち以外は
すべてが嘘みたいだったような気がするんだ
大丈夫じゃないのに大丈夫だと笑ったこと
苦しくて堪らないのに苦しいと叫ばなかったこと
助けを求めなかったこと
君に大切な人がいるならその人を大切にして欲しいと嫉妬すらしなかったこと
私を好きになってほしいと思わないように想っていたこと
会いたかったけれど会いたいとは伝えなかったこと
君しか見えていなかったのに
君すら見えていなかった
君の負担に気付こうともしなかった
自分のことばかり考えて
優しすぎる君に甘えきって
もう好きじゃないなんて強がって
醒めたように笑ってみせて
全部全部誤魔化している
君という夢から醒めただけ
ただそれだけ
嘘ばかり吐いたわ
嘘さえ吐けなかったわ
私が君に伝えたほんとうは
ただひとつの「好き」だけだった
歩み寄って欲しいと願いながら
歩み寄ろうとしなかった
歩み寄ろうと思いながら
君のことばかりを祈っていた
涙すら出ないのは吐きすぎた誤魔化しの代償なんだろうか
好きだったなと本当にそう思うのに
心が静かに死んでいくんだ
20/03/07 16:19更新 / 雨月 涙空



談話室



■作者メッセージ
ぶつけたのはなにでぶつけなかったのはなんだろう。
過去になりましたか。

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