君が笑うなら
誰よりも君が好きな癖に、君に好きな人が出来てもいいと言う。誰よりも君を笑わせたいと思っている癖に、僕がいなくても君が笑うならいいと思えてしまう。誰よりも君に傷ついて欲しくないと思いながら、僕は君を傷つけるのかもしれない。「誰よりも」君が大切だから、そこに僕はいない。僕は僕よりも、君を愛してしまうんだろう。君が幸せを感じるのならそれでいい、幸せではなくとも独りにならないのならいい、不幸に迷ってしまったなら僕が救い出せたなら、とそう思う。君を救いたいと思うことで、救われたがっているのは僕なんじゃないか。君を大切にしようとそれに縋ることで、他のものから目を逸らしているんじゃないのか。そんな思いも心を過ぎるけれど、きっとどうだっていい。君が笑ってくれるなら、どうだっていいんだ。君はそれくらいに僕のすべてで、君が敵にならないのなら他の誰かの味方にはならない。僕が選んだのはそういう人生で、君を失わない為に、僕に出来ることは何かを、僕はずっと考えている。