知らなかった
こんなにも君を好きになるなんて、思ってもなかったの。ありふれた恋の一つが始まっていつかは終わるくらいにしか思ってなかった。それが今では、話せば話す程、知れば知る程、触れれば触れる程に、好きが募っていく。君は優しいのだと思っていた。だけど君のそれは、優しさではなく、嘘のない温かさなのだと知った。少し温度の低い君の手。私より頭一つ分高い身長。照れた時に口元を手で覆う笑い方。変わらない態度。誰にでも優しいのではなく、自分に対して必要以上に厳し過ぎるような、ある種自罰的なところ。ありふれた恋を、ありふれたまま終わらせたくないのは、君を好きになったから。君を好きなまま、自分を生きていけるなら。私はいつまでも、どこまでも、そうあれる気がする。こんなにも好きになるなんて思ってもいなかったけど、こんなにも好きになれたから、君でよかったと思うよ。何度だって、そう思う。私はもう、君を好きじゃない私にはなれない。それはなんだか盲目的であること以上に、嬉しいことな気がしたんだ。