写真を
写真を撮られるのが苦手な君。それを知ったから君の写真は撮らなかった。それなのに、君の笑った写真がカメラロールにはあった。しばらくしてそれは夢なのだということに気付いた。夢と現実の境目が分からずに、身体を起こして泣きそうになって、顔を洗おうと階段を降り始めたら足を踏み外した。痛みで目が覚めた。痛いのは身体なのか、心なのか。夢でまで君を求める私は、危ういなと思った。嗚呼、私は、夢の中でさえ君を好きでいるのかと。痛いのは、誰。痛いのは何。泣きたいのは、どうして。私はたぶん、君に会いたいんだなと、寂しさに気が付いた。気が付いただけだから、どうもしない。君に会いたいと言う想いは、学生時代に君を追い詰めた。何もかもが変わった世界で、私は君を、好きでいるのだ。