蝋燭の火が
蝋燭の火が燃えている。蝋を溶かして燃えていく。それを見てふと思った。命も想いすらこうやって消えていくのだろうか、と。溶けて尽きていくのだろうか、と。解けずに解かされずに、説けずに説かされて。ああ、でも、綺麗だからいいなと思う。儚いけれど尽きる瞬間まで綺麗ならいいなと。立ち昇る煙を見て息を吐き出す。死んだ人が煙越しに見つめている。お盆でもないのに、胸が空になるのはどうしてだろう。この寂しさはどこから来るのだろう。別れなど知らない癖に、覚えもないのに痛みが続くのは、どこかで感じた別れを心が記憶しているからだろうか。年が明け、気付いたのは空洞で、別れを告げたあの人がどこかで笑っている気がした。