ポエム
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やめてよ
私の心を掻き乱さないでくれ。
優しい笑い方も、煙草の吸い方も、頭を撫でるのも、私に向けられた言葉も、心でさえも、好きで仕方ないのに思い出すと胸が張り裂けそうになる。息が苦しくなる。好きなんだって思い知らされる。わかってる。私は君の恋人にはなれても、大切な人を越えることは出来ない。勿論、その人を越えられるとしても越えるつもりもない。
けれど、それでも。私は君が好きなんだ。君の生き方が好きなのに、君のその優しさや笑顔や言葉が他の人に当たり前に向けられていることに嫉妬に気が狂いそうになる夜がある。今年はもう君に会えないのだと思うと、寂しいよりも、湧き上がる感情が「君に会える人が羨ましい」になってしまう。嫌だ、こんな私は嫌だよ。私にも私の世界があって、君と同じように、或いは全く違う生き方で、いろんな人を大切にしているのに、君には嫉妬するだなんておかしいじゃないか。嫉妬されたら嬉しいと思うのか。君を失わないために蓋をしてきた感情は幾つあるだろう。その反対に、君に私を失わせないために幾つの感情を曝け出してきただろう。私の中で君の優先順位は誰よりも高いのだろうか。だとしたら君の中で私の優先順位はどちらから見たほうが早いだろうか。
わかってる、私は、自分の中に生まれたそんな嫉妬さえ含めて君が好きなのだということを。
そうして感じる一番は、やっぱり君が生きて笑っていることだから、この気持ちはぶつけずに大切に覚えておこうかと思う。自分の人生に他の誰かが、例えばパズルのピースみたいに、歯車みたいに、加わることや当てはまることを恋と呼ぶのならそれがいい気がした。自分一人の生きる、だけではないから、噛み合わなくてもおかしくなってもすれちがっても分かり合えなかったとしても、当たり前のことで、当たり前がないのなら自然なことだと思う。その違いすら、私は愛したいと思いながら日々を生きているよ。だから泣きそうになる嫉妬に潰されそうな夜があってもいいよね。私は君を愛したいからさ。
19/12/22 17:14更新 / 雨月 涙空



談話室



■作者メッセージ
骨の髄まで、とかね。嫉妬する日もありますね。

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