君と私
初めて出逢った時のことを覚えている。正確には、初めて君を見た時のことを覚えている。一目惚れだった。顔が好みだった、というわけではない。儚げだった。今にも消えてしまいそうだった。触れてみたいと思った。初めての口付けを覚えている。改札前、沢山の人がいた。緊張して頭が真っ白になったこと。二人乗りが嬉しかった。自転車の荷台は特等席みたいだった。君が好きだったものを自然に好きになったこと。それは今も好きであること。君の生活を気にせずに君を振り回して君を疲れさせてしまったことを覚えている。私は自由すぎたこと。初めての別れが悲しかったこと。好きな人と言われて思い浮かぶのは真っ先に君であること。好きになってくれた人と付き合ってそれでも君を忘れられずに泣いたこと。とても久し振りに君に会って友達としてやっていこうと静かに決めたこと。お酒を飲むと目がとろんとすること。お酒に強い筈なのに雰囲気で酔ってしまうこと。吸っている煙草の銘柄を覚えようとしたこと。好きなものが似ていること。君の傷を知らなかったこと。君に大切な人が出来たこと。急に頭を撫でてきたこと。疲れたように笑う君の表情が、それなのに優しくてまた恋に落ちたこと。距離感を壊さないように君との関係を探していること。愛犬が大好きなこと。美容院を紹介して一緒に行ったこと。髪を染めている間に見ている雑誌が時計の頁だったこと。君が怪我をしたり倒れたと聞く度に胸が張り裂けそうになること。会う度に痩せていく君を見て君を心配する自分に驚いたこと。君の好きなものをなんとなく覚えていること。君の誕生日は毎年詩を書いて誰にも見せずに温めていたこと。君と1ヶ月半だけ同じ歳になれるのが嬉しくて、でもやっぱり遠くて毎年縮まらない距離に切なくなること。君の言葉はいつだって正しいこと。価値観が違うこと。世界が違うこと。優しさが嬉しいこと。笑った時に目元が柔らかくなるのが好きなこと。繋いだ手の温もりを覚えている。もう傷つけないと約束したこと。約束を破ってしまったこと。君を傷つけてしまったこと。君と電話をすると大抵は君が歌っていること。好きだと言われたとき嬉しかったけれど信じられなかったこと。君を傷つけないように自分を傷つけないように約束を守り続けていること。
そして君が好きなこと。私は君が好きで、私の世界から君がいなくなるいつかが怖くて仕方ない。私は君のヒーローになりたかったのかもしれない。
これは私が覚えてる限りの君と私の、今までと今の話。
そして君が好きなこと。私は君が好きで、私の世界から君がいなくなるいつかが怖くて仕方ない。私は君のヒーローになりたかったのかもしれない。
これは私が覚えてる限りの君と私の、今までと今の話。