嫌い
嫌いだと言うなら、僕があげたミサンガなんて捨ててしまえよ。いつまでも鞄につけたままにしておくなよ。口を利かないことが、視界に入らないことが、僕を嫌いだと言う君に最大限、出来ることだと思ったのに。君がいつまでも、それを付けたままにしているから、僕は君をどう思えばいいかわからない。人を嫌ったことのない僕には、僕を嫌いな君の気持ちがわからない。嫌いな人間に貰ったものをずっと鞄につけたままにしている君の気持ちがわからない。だから僕は無意識に君を意識して、意識しないように、無意識を装う。どうすればいいかわからないんだ。挨拶さえ戸惑う。僕を嫌いだと言うなら、態度に出せよ。挨拶も返すなよ。そうしたら僕はちゃんと傷ついてもう君に関わらないように努めるのに。僕が嫌いな君を、嫌えない僕を、何とも思っていないかのような、そんな君がわからないんだ。