夜、お月様
夜空を吸い込んで体中に染み込ませた。お月様が笑っているような気がした。とても優しくて、切なくて、寂しげで、いつもよりも冷たく感じるお月様。夜が私の身体を蝕んでいく、冷たい空気が心臓に届く。夜は優しい。朝を怖がる私だけれど、夜を怖く感じたことはないかもしれない。朝には朝の素敵さがあるのかもしれない。けれど、やっぱり朝は怖い。目が覚めたことに絶望するような日々だから、夜がくると段々と自分が薄くなっていく気がして安心する。優しいお月様が見えるから寂しいのは一緒なんだと思える。私ね、ずっとお月様に恋をしているのよ。ぽっかり浮かんだ夜空の金色の空がまるで私の心みたいだと、そんなことを思ってしまうの。こんなにも夜は優しいから、少し感傷に浸る。
こんなにも、私は夜が好きだ。
こんなにも、私は夜が好きだ。