ポエム
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雨が降るから
空が濡れていた。寒いね と笑う君の声が潤んでいたから、泣いてるのかと思った。屋根を叩く音が似ていたから、僕と君は同じ世界にいるのだとなんとなく思った。そうならいいと思った。目を閉じて、君に心を傾ける。世界にはふたりきりしかいない気がする。寂しくないよ、と強がる君。嘘、こんなに寂しいのに気持ちは違うの、と溢れる僕。会いたいよりも確かな言葉ってなんだろう。それはなんだか、寂しいみたいな気がした。多分会える距離にいても僕等は会わない。寂しい理由は距離じゃなくて、言葉が足りないせいだ。心が足りないせいだ。会いたい、というのは簡単で、会えない理由ばかり募るから僕は君を責められない。君は僕を気遣ってしまう。寂しいね、僕等、好き同士なのに、埋まらないものが分かってるから、想いが溢(あふ)れないように零(こぼ)れる涙に気付かないふりをした。気持ちを確かめ合う方法なんてないのかもしれない、と雨空に耳を澄ましながら静かに思う。僕と君の、世界はどこが始まりなんだろう。
19/11/28 16:32更新 / 雨月 涙空



談話室



■作者メッセージ
世界中で、僕等だけにしかわからない寂しさがあるならそれを恋と呼ぼうか。

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