夜の苺を摘みに
あの子なら
夜の苺を摘みに行ったよ
見知らぬ誰かと手をつないで
いいえ
あれは木の葉をさらう夜風
笛を吹いて 白く渦をまく
ただの夜風
あの子なら
夜の苺を摘みに行ったよ
おとなの顔をした銀の背中の人と
いいえ
あれは冬が忘れていった木々
枝をとがらせ 風に鳴る
さびしい木々
あの子なら
夜の苺を摘みに行ったよ
爪の青い手に引かれて行ったよ
いいえ
あれは月夜にとぶ鴉
赤い三日月の夜にだけ 目をさます
闇に棲む鴉
ああ あの子は
夜の苺を摘みに行った
まっ赤に熟す夜の苺は
危険な果実
指と
指をからませ
甘く滴る汁を
そっと舐めれば
魂を抜かれてしまうこともある
摘んではいけない
夜の苺を摘んでは
(いけない)
夜の苺を摘みに行ったよ
見知らぬ誰かと手をつないで
いいえ
あれは木の葉をさらう夜風
笛を吹いて 白く渦をまく
ただの夜風
あの子なら
夜の苺を摘みに行ったよ
おとなの顔をした銀の背中の人と
いいえ
あれは冬が忘れていった木々
枝をとがらせ 風に鳴る
さびしい木々
あの子なら
夜の苺を摘みに行ったよ
爪の青い手に引かれて行ったよ
いいえ
あれは月夜にとぶ鴉
赤い三日月の夜にだけ 目をさます
闇に棲む鴉
ああ あの子は
夜の苺を摘みに行った
まっ赤に熟す夜の苺は
危険な果実
指と
指をからませ
甘く滴る汁を
そっと舐めれば
魂を抜かれてしまうこともある
摘んではいけない
夜の苺を摘んでは
(いけない)