ポエム
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二週間
夕べは帰宅が珍しく
深夜0時を回ってしまった

エレベーターに
乗ろうとしたとき

コンクリート部分に
何か茶色い物体が
くっついていた

なんだろ

良く見ると
羽化を始めた
蝉だった

すでに背中の
切れ目から

チャックを開けて
服を脱ぐみたいに

せっせ
せっせ

はじめての
地上に顔を
出している

本当のところ
私は蝉が苦手

だけど何故だか
見る事15分

ちょとずつ
身体が出てくる

目が合って

あ、こんばんは
こんなところで
ごめんなさい

ボク不器用で
高い木の上まで
登れなかったの

と言われた
ような気がした

蚊に刺されながら
しばらく見ていた

身体の半分まで
出てきた所で

腹筋運動のような
恰好をし始める

身体は薄く
透明感のある
緑色をしていた

そこまで見る事が
自分の中の限界で

そーっと
エレベーターにのり
自宅へ帰った

さっき

無事飛べたのか
見に降りた

抜け殻は近所の子供が
持ち去ったのか

壁にはすでに
何もなかった

地面に5年
地上で二週間
のはかない命

思う存分に
見た事のない

世界を飛び回り
そして恋をしてね

蝉は苦手だけど

そんな事を思った
日曜日の朝でした



21/07/18 09:04更新 / そら



談話室



■作者メッセージ
おはようございます
生きるって大変やな
そんな事を考えました

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