ポエム
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位牌がない
位牌が一つ足りないの

探しに行くと
テレビ台の下に
位牌が一つ寝ていた

これは偽物だから

認知症と診断されるには
彼女はまだ少しだけ若かった



父が、僕の奥さんだよ
と連れて来た彼女は
まだ29歳の綺麗な人だった

私を子供と受け入れられず
私も彼女を受け入れる事が
できなかった



父と結婚して
10年後に若くして
未亡人となった
その彼女は

新しい恋を
探す事もなく

まるでまだ
生きている時のように
何年も何年も
亡き父を愛し続ける



つい先日のこと
濃厚接触者となった私は
しばし実家に寄らなかった

私が死ぬかも
と思った彼女は
泣いていた

いつの間にか
私は貴方の子供に
なっていたのかな



今日も
位牌が一つ足りないの
と電話が鳴る

そうなんだ
来週には帰るから
一緒に探そうね

おかあさん
21/06/20 18:51更新 / そら



談話室



■作者メッセージ
「誰?」の続編です

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