ポエム
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最高のときめき





〈1〉
封筒が落ちているのを見たときのここ最近最高のときめき


〈2〉
トルソーになった自分を想像し「なんのために?」と思い前向く


〈3〉
老いてから泣くほど悔やむ選択を今日も誰かがするかもしれぬ


〈4〉
三百円あれば立派な家が建つ時代いいなと一瞬思う



〈5〉
持っているタバコを落とし、
食べているものをつまらせ、
各自おどろく。



〈6〉
元日の朝の景色を通過する電車の中から人を見下ろす


〈7〉
どうしても転ばず歩きたいわけで氷の上でフヒフヒになる


〈8〉
寒そうに背中丸めた母親がコンロに話すパチンコのこと


〈9〉
そのときになったらオレを刺してくれ と言った「そのとき」過ぎちゃったねェ


〈10〉
眼の数に特徴をもつ妖怪をむさぼり描いていた少年期


〈11〉
タイトルを「乳首」とつけて書き込んだ目立ちたがりの過去はずかしい


〈12〉
自然光 両足の指の爪を切り出来た気がする一日一善


〈13〉
月ならばたまに見ることあるんだよ月を見つめる自分が良くて


〈14〉
音楽がなぜ好きなのか考えて暗い呪術に思いは及ぶ


〈15〉
あるがままそのまま映す芸のない鏡の前の満面の笑み





20/05/23 09:15更新 / 工藤吉生



談話室



■作者メッセージ
短歌15首

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