おさまってない【短歌10首】
「おさまってない」
ポケットにもぐって暖をとっていた両手おのずと出てくる春は
メニューとはちがう気がする春野菜パスタ見比べあきらめがつく
見本より色あせているパスタだが味はおおむね差し支えない
この人にも家族があるんだろうなあと想像させる顔の店員
無着色ながら真っ赤なケチャップをつけてポテトを無意識に食う
耐えているみたいな顔の男から目をそらす、また見る、耐えている
支払いを終えたら外の強風がおさまって、いや、おさまってない
均等な間隔をおいて植えられた黄色や赤に将来はある
若者の味方だという顔がもうしんどくなって背中が痛い
見通しのよい地点から沈む陽を見ていたずっとこうしたかった
ポケットにもぐって暖をとっていた両手おのずと出てくる春は
メニューとはちがう気がする春野菜パスタ見比べあきらめがつく
見本より色あせているパスタだが味はおおむね差し支えない
この人にも家族があるんだろうなあと想像させる顔の店員
無着色ながら真っ赤なケチャップをつけてポテトを無意識に食う
耐えているみたいな顔の男から目をそらす、また見る、耐えている
支払いを終えたら外の強風がおさまって、いや、おさまってない
均等な間隔をおいて植えられた黄色や赤に将来はある
若者の味方だという顔がもうしんどくなって背中が痛い
見通しのよい地点から沈む陽を見ていたずっとこうしたかった