ポエム
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ほのめかし

Aだねと言われてBへ歩み出すオレの進路は危ういだろう


コーヒーの中にミルクはたちこめて落としどころをうかがっている


ほのめかす自分への愛 ひらこうとした手がやぶるしわくちゃの紙


鼻毛ボーンというギャグやってた芸人がやってた歯茎ニョーンというギャグ


おもしろい仕事と思い込もうとしてこねくりあげた理屈あれこれ


なんとなく気に入らないな突き刺してひねって抜けばぼろぼろの鍵


「星野監督はこの表情」とうどん屋のテレビが言えば客の振り向く


右耳と左耳とが聴いている虫のそれぞれ愛かもしれず


被害者の知人女性が心情を吐露し画面はその胸映す


くやしくてまた虫を踏み地になする季節のちょうど真ん中へんで


朝の陽のまぶしすぎれば回想のようで遠くに自転車のひと


庭を行くオレにちょうちょがついてきたように見えてた時間があった


カラオケは健康にいいと言い張ってカラオケに誘う男の声だ


楽曲が人間ひとりの一生と感じられればその死まで聴く


重役が何人か来てその中の不吉において抜きん出た顔


カーテンを閉めれば雨は音だけになってどこかで泣きだすおんな


すぐにやむお天気雨だそのような気持ちではない気持ちとかじゃない


充実の人のかかえるオレよりも高いリスクを畏れ敬う


納豆の入ったうどんを次こそは食べる決意で会計終えた

16/04/13 12:54更新 / 工藤吉生



談話室



■作者メッセージ
ほのめかしの短歌など

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