夢に誘う花
十月の花を飾ろう その名は知らずとも
僕の記憶を隠そう その紫の花弁の奥に
そうして深い夜の底に
頭痛とよく似た感情を捨てよう
それから淡い靄の向こうに
置き去りにしたひとを探そう
そのひとは前に進めないまま
目を閉じ耳を塞いでいるので
僕はこの手で抱きしめてしまおう
謝罪の言葉は口に出さずに
強く抱きしめて体温を捧げよう
そのひとは言葉を見つけるだろうか
それは僕を責めるのだろうか
僕は言葉を得られるだけで
満足できる自信をもっている
だからあのひとが愛していた
十月の花を枕辺に飾ろう
きっとそこに たどり着けるように