ポエム
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海霧(口語詩・風景)
橋を渡ると いつも海霧が流れて来ていた

綺麗なのに 綺麗なはずなのに

夕日は伸べて霞んだ 見えないのが哀(かな)しい

懐かしい郷里も海霧に沈む

改めて霧の町だと実感すると 改めて郷里が霞んだ

雨滴(うてき)滴る東屋(あずまや)で 只(ただ)哀しんだ

朝起きると 今日も今日とて海霧に沈んだ

いつ来ても変わらない 我が郷里

こみ上げる 悲壮感 焦燥感

何でだろう 何でこんなに淋(さび)しいのだろう

懐かしいのに 懐かしいはずなのに

海霧の中には 塩っ辛い雨が数滴 ぽろぽろと

それも結局 海霧に沈む
20/01/10 22:29更新 / 椛島康介



談話室



■作者メッセージ
自分の郷里、久しぶりに帰省するとあまりにも変化がありませんでした。
小汚くなったわけでもないのですが、それが少し悲しくて涙が出ました。
昔から変わらない濃い海霧がやってくると、帰ってきたんだなとしみじみした気分になります。変わっていたらどう感じるんですかね。

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