ポエム
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ベッドから足を降ろす
ヒヤリと冷たい床
踏みしめる感覚

カーテンの向こう
あなたの寝息が聞こえる

あなたは今日
わたしに話した
今までのあなたの人生のこと

あなたは今まで
いろんな道を
歩いてきた

いろんな景色を見てきた

希望に向かって
うまくいかなかった日を振り切って
気晴らしに呑気に
愛する人の隣を
絶望の縁でも手を取って
あなたは今まで
歩いてきた

そんな当たり前のことが
できなくなった

少しずつ細くなって
頼りなくなって
力が足りなくて

もう歩けないの
愛しい人の隣
笑いながらお話ししながら
歩幅を合わせられない

もっとあの人と
歩きたかった

もっといろんな世界を
見に行きたかった

涙混じりの笑顔で
そう語ったあなたは
すごく強いひとだ

隣を歩けること
声が聞こえること
顔が見られること
触れられること
想いを伝えられること

大丈夫
あなたはわたしよりうんと
たくさん持っているから

そう言ってあなたは
いつものように横になった
あなたのベッドネームが見えて
あなたがこれから
どうなっていくのかわたしは知った

息もしづらいはずなのに
あなたの寝息は
いつもよりとても穏やかに思えた

今日の夜はとても
落ち着く
24/02/03 22:53更新 / める



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