ポエム
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真冬の訪問者
夜 インターホンが鳴った

モニターに映っていたのは見知らぬ若い女性だった

怪しむ間もなく顔が好みだったので

玄関ドアを開けた



彼女は全裸だった

どうしたの?と訊くと

冬の寒さを全身で感じたくて、と言う

でも風邪をひくから靴だけでも穿いた方がいい

そう伝えると彼女はいなくなった



ほどなくまたチャイムが鳴る

彼女だった

大きな瞳が特に気に入っていたのでドアを開ける

パンプスを穿いてはいるものの全裸のまま

恥ずかしくて見られない、と俯くと

分かった、と言ってドアの向こうに消えた



半時間以上経ってチャイムが鳴る

やはり彼女だ

満更でもない体つきだったのでドアを開ける

光沢のあるピンクの下着をつけている

それがパンプスのワインカラーとマッチしていた

食事に行くなら何か着ないとまずいね、と話すと

軽くうなづき去っていった



一時間ほどした頃チャイムが鳴った

あわててそのまま玄関に走った

急いでドアを開ける

するとそこに立っていたのは

ピザの配達人だった

デリバリーを頼んだ覚えはない

女性スタッフは間違えました、と謝罪し足早に立ち去った



それから数分もしない内にまたチャイムが鳴った

今度は慎重にモニターを確認した

彼女だ

声もすてきだったので玄関ドアを開け

入ったら?と促した

彼女は夏物のワンピースを着ている

これから雪が降るらしいよ、コートある?とたずねると

ちょっと待ってて、と言い残して出ていった



食事をして軽く飲んで

その間にホテルを予約しておいて…

妄想しているうちに眠りにおちた



その夜インターホンは二度と鳴らなかった


19/11/28 13:41更新 / KILIMAI



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