ポエム
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詩集・夏景色
『校庭』

だ~れもいない セミの声だけの

田舎の小学校の教室

町に転校して行った

君の机の上に顔を横にする

かすかに声が聞こえるよ

〇〇君 げんき?

それから僕は 僕の机の

ナイフで刻んだ〇〇さんという名前を

指でなぞる。


思い出す

だ~れもいない教室と

子犬が一匹の夏休みの校庭。


『夏の夢』

思えば、この半年、夢を見ていたのかも知れない。

一つは、春の海辺で、ほっこりしている、そんな夢。

もう一つは、波の光のように、キラリとひかり、セクシー。

夏の夢は 夏が終わらないうちに去り、

浜辺には君が忘れた お気に入りの帽子があった。

君はこの帽子を取りに また 戻ってくるかも知れない。


『夏の終わりに』

夏の終わりの 砂浜に 

君が書いた 二行の言葉

それを言いに 戻って来たのかい

大事にするよ その言葉

ああ- 帽子を忘れてはいけないよ。


『夏坂』

この坂を曲がった先に

あなたと住んだアパートがありました

身ごもったあなたの

お尻を押して上ったことも

この坂は駅から近いのだけど

去年は休まず上れたが

今年は途中で休んで汗をふき

夏の終わりの雲を見上げるのです。



19/06/12 06:22更新 / 北風 嵐



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