そうっと3つ数えたら
心のなかで
呼びかける
そぅっと
3つ 数える
新緑も終わり
夏の虫たちが
せわしく ないている
生暖かい風が
吹き抜けてゆく
一頻りかいた汗を
撫ぜてゆく
木々たちが サワサワ
揺れる
枝の間に いつの間にか
こしらえた 大きなクモの巣
危うく ひらり 紋白蝶が
引っかかりそうになって
間一髪
ひらりひらひら
羽ばたいた
柔らかく
淑やかに
白い花が
咲いている
そうっと
3つ数えて
目を閉じて
ぱっと 目を開いた
不思議な森への
入口
木の精が 手招きする
こっちへおいで
こっちへ
どんどん 切り開かれた
大地の 声を
自然の中で
感じて
それは 優雅では
ないかもしれない
それは甘美でも
ないかもしれない
自然そのまま
森の奥に流れる
せせらぎが
心地よく
空気が美味しい
そのまま
3つ数えて
少女が見たものは