真っ黒だったあのころの自分に
さよならを告げたい

人を傷つけた事実は消えない
今更完璧な後悔はできっこない

謝りすぎて伝わらないことがあった
押し付けすぎて伝わらないことがあった

あなたとぶつかるには
言葉や知識や年齢が足りなかった
出会うのが　もう少し遅ければ
もっと皴があったなら
傷つけずにすんだかもしれない

ほら　やっぱり　黒が混ざっている
白濁した理由を盾に罪を隠す

解き放たれたと思うのはほんの一瞬で
本当に変われたのか不安になる
果たして　このままでいいのかと
あなたを　また　傷つけやしないかと

今更完璧な後悔はできっこないから
人は誰しも
人を傷つけた事実を背負って生きていく

でも真っ黒な心は違う
自分のタイミングで断ち切れば
波にさらわれる　ボトルメールのように
夜空に咲く　花火のように
最初から無かったかのように
あっという間に消える

気付いたのなら　まだ変われる
真っ黒だった自分に
さよならを　告げて。

■作者メッセージ
大切な人と喧嘩した日の夜は、心臓が痛くなります。あの疼痛が大嫌いです。もうしません。