大切な人たちに　おはようすら言えない
慌ただしい世の中で　多くの少年少女は
ただただ暇な毎日をだらだらと過ごす

もうすぐ特別な一日を迎えるというのに
憂鬱な気分で曇り空を見つめ　重い息を吐きだす

本当だったら　友達が目の前にいるはずなんだ
私たち三年生にとって　大切な時間なはずなんだ
思い出が、足りないはずなんだ。

ふと、つけっぱなしのテレビから流れるニュースに
目を向ける
温かい春の知らせに　顔がほころぶ
明日、桜が　咲く。

卒業するんだ、って　今気づいた。
涙が零れる。
先生と　皆と「おめでとう」を言い合おう、
そう心に決めて
制服のしわを伸ばした。

■作者メッセージ
ゆっくりと過ごしていると、卒業するという実感がわかないかもしれませんね。卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。