ポエム
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ブラックコーヒー
開けずにいたカーテンが少しだけ、
すきまを作っていることに気がつく。
ゆうがたの柔らかい日差しが、
読みかけのちいさな活字をやさしく、橙に染めていた。
わたしが、今日いちにちベッドの上で過ごしたことを、
責めも怒りもせず、夜がくることだけを告げて、
しずかに地球の反対側へ、朝を届けに行った。
淹れなおしたコーヒーはやっぱり苦くて、
それでもブラックで飲みつづけるのは、
堕落した土曜日の言い訳にしかならないけれど、
大人ぶったわたしに酔いしれて、栞をはさんで本をとじた。
いつも見守ってくれてありがとう。
明日はちゃんと朝ごはんをたべて、
買ったばかりのコートを着てでかけよう。
春はもう、すぐそこだ。
18/03/17 20:28更新 / 暮月



談話室



■作者メッセージ
たまにはこんな休日も、いいんじゃないかな。ゆっくりと、確実に近づいてくる春を、感じながら飲むコーヒーは格別だ。

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