よんきゅーはちきゅー
数字のよんを、幸せの4だって言う人がいて、その考え素敵だねって笑う人がいて、その子の笑顔に恋をする人がいて、すべてがそんな世界なら戦争なんて起こらないのにね、って眉をひそめた人がいて、君はいい人だねって皮肉を言った人が、実は陰でこっそり泣いていたのを、ぼくは知っている。電話が鳴き声をあげる数秒前に、あぁ電話がかかってくるなぁって分かるみたいに、音に色が見えたり、自分の声が耳の中で反響してうるさかったり、それは特別なことのはずなのに嫌気が差すような寂寥感。まだ、20世紀にはなかったものだ。雨が雪になる瞬間、どこかの公園のベンチでキスをするカップルがいる。時間が止まった世界にはやさしさしかないんだね。阿呆くさい。生きている限り、ぼくらは救われない。例えそうだったとしても、きみがいつも、ぼくの知らないところで、ぼくの知らない誰かと笑顔で暮らしていたら、最高だな。