ゆめおい
生きる世界が違うとは、きっとこのことだ。くだらないって笑う、それでも瞳が燻っていないのを、となりでずっと見てきて、わたしにないものを持っている、あなたが好きだった。眩しい、嫌いだと言っていたオノマトペで、表現するのが相応しいきみ。わたしには毒でしかなかったよ。5つの線が無限に伸びていくの、とうの昔に飽きちゃった、もう駄目なのね、遅かったのね。この箱はきっと通過点でしかなくて、わたしたちが出逢ったころとなにも変わらない、硬かった指先が、ふつうのおんなのこのそれとおなじに戻って、きみの夢を見られなくなった。許してくれなくても、わたしを選ばない、あなたを嫌いにはなれないよ。趣味で集めたさんかくを、いいねって言う、口の動きがやさしかった。くしゃくしゃな笑顔と、煙草の持ち方がきれいだったことも、よく憶えている。きみの目の前に、うつくしい音と光がいっぱいであればいい。わたしの伸ばしたまえがみが、きみの活躍の証になるのを、いまも信じている。いつかのあなたに栄冠を。