僕が見下ろした街の僕
屋上から街を見下ろす
人々は蟻と大差ない大きさだ
あくせく、絶え間なく
交差点をいそいそとわたる蟻たちは
自分達の働く場所に向かっていく
僕は屋上で夢を見ている
けど空を眺めてはいない
街を見下ろしながら、夢想している
いつか、いつかあの大移動の中から
のけ者にされ、馴染めず、一緒に夢を見る人が来ることを
詩とは存在しないものへの憧憬だと朔太郎はいった
僕の願いはなしえないものであろうか
けれど、寧ろそうかもしれないからこそ
僕は夢を見る事を辞めない
気付くと現実の僕は蟻たちの中に加わり流されていく
今日も僕の魂は
屋上の上から街を見下ろすのだ