弐匹の詩
T 蛙
僕は蛙が好きだ
小さな体を持ち 素晴らしい足を持ち
ぴょこぴょこと飛びながら
声を出す時はあの小さな体から
大きく大きくげこげこと声をあげ
真っ直ぐに目を少し上へ向け
けれどどこか落ち着いた目で野山を眺め
鮮やかな緑や、深い土の色
毒々しい色の水玉模様や
サイケデリックな色彩
多種多様な色を体に称へ
今日もげこげこ、ぴょこぴょこ生きている
そんな蛙が、僕は好きだ
U 蚯蚓
僕は蚯蚓が嫌いだ
太麺のような体をくねくねと躍らせ
じめじめと雨の降る日には元気よく
あのぬめぬめとしたピンク色の体を
てらてらさせている
日がでるといそいそと日陰に戻ろうと試み
いくらかは干からびてしまう
なんとか辿り着いた奴らも
人間やらに踏みつぶされないよう
これまたいそいそ動いていく
僕の嫌いな蚯蚓は
か弱く けれど精一杯に
今日もくねくね生きている
V そして…
僕は蛙が好きだ 僕は蚯蚓が嫌いだ
僕は蟻が好きだ 僕は蛞蝓が嫌いだ
僕は猫が好きだ 僕は犬も好きだ
僕は人が好きだ 僕は人が嫌いだ
僕はどうだろうか
僕も僕の好きな彼らや
僕の嫌いな彼らの様に
今日を精一杯生きていきたい