裸のピアノ
1
背の荷物を床に置き
指先で2、3鍵盤を触って
座るとすぐに
始めから決めてあったことだと
とでも言うように
弾かなければ帰れないと
出発する人も
異国からやってきた人も
街で建物を見て路地裏に佇んで
肉を頬張りビールを飲み
挨拶をする
何処ででもすることを
シ始めるために
シ終えるために
自作の曲と、名のある曲を
以前の曲と、
作りたての曲を
弾き始め弾き終わって
荷物を背に負い
ピアノの影に消えていく
そしてまた
ピアノに向かってやってくる
次の曲が次の人を乗せて
2
指先で触る
指が滑り動いていく
弾こうと思ったわけではなく
脳が聴きたかったのか
この曲が必要だと
何も考えずに
少しのあいだ
指の動きに付いていく
考えだしたら弾けないと
脳だけが知っていたこと
わたしは椅子を立つ
荷を背に負いまた歩いていく
3
ホールには
沢山のことが流れだしていた
背の荷物を床に置き
指先で2、3鍵盤を触って
座るとすぐに
始めから決めてあったことだと
とでも言うように
弾かなければ帰れないと
出発する人も
異国からやってきた人も
街で建物を見て路地裏に佇んで
肉を頬張りビールを飲み
挨拶をする
何処ででもすることを
シ始めるために
シ終えるために
自作の曲と、名のある曲を
以前の曲と、
作りたての曲を
弾き始め弾き終わって
荷物を背に負い
ピアノの影に消えていく
そしてまた
ピアノに向かってやってくる
次の曲が次の人を乗せて
2
指先で触る
指が滑り動いていく
弾こうと思ったわけではなく
脳が聴きたかったのか
この曲が必要だと
何も考えずに
少しのあいだ
指の動きに付いていく
考えだしたら弾けないと
脳だけが知っていたこと
わたしは椅子を立つ
荷を背に負いまた歩いていく
3
ホールには
沢山のことが流れだしていた