ポエム
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月の上の歩み
月の上をふわふわ歩く
どこへ行っても同じ景色
空を見上げるとそこは
小さな星に彩られた
明けることのない夜

大きな看板が出ている場所へ
僕は空気と水を買いに行く
レジスターに札と小銭が
吸い込まれていく
人が集まる以上は
そういったことがつきものだ

僕は生き永らえながら
完璧な静けさを手にしたかった
でも僕の要求は
お金持ちや議員が保身のために 
何か悪いことを画策するよりも
ずっと高望みで ずっと汚いんだ
だから叶わないんだ

月の上に街ができて
みんなは感嘆とする
毛皮の腰巻きを巻いて
摩擦で火を起こしてた頃を思うと
随分手先が器用になったよねって

でも人の心は育ちの悪い子どものままだ
大人しい奴らは引きこもって夢想する
血の気のある奴らは互いを蹴落とし合う
仕事ができる奴らは誰かの手足のくせに威張る
そして権力を持つ奴らは腐敗する

だからそんな人の心が
思いがけない進化を遂げて
いつも人に優しく親切でいられたら
宇宙のあらゆる場所に行けることなんて
車の窓についた雨粒を拭くようなもの
25/06/29 23:58更新 / 南米こむすび



談話室

■作者メッセージ
マイブラッディバレンタインのラブレスというアルバムを聞きながら 月は無慈悲な夜の女王という小説をイメージして作りました

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