ポエム
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黒い水
ドアの外では
雨の匂いが
道ゆく先で
渦巻いてる

雨は屋根を洗い流し
小気味のいい音さえ立てる
ただ軒先のあるところからは
黒い雫が絶え間なく落ちる

改めにいくと
トタンの溝にカラスが
目と口をかっぴらいて
挟まって死んでいた

カラスの黒さは
不気味な子どもが
絵の具で塗ったかのような
色使いだった

僕はそれを下ろして
草むらの中に置いた
それから月日が経っても
カラスはそこにあった
犬に食われも 腐りもしないで

見かねた僕はそれを埋めようと
手を伸ばしたら
壊れたおもちゃのように
それは目をギョロギョロ白黒させ
口からは黒い水を垂らし
濡れた翼を震わせて
いつまでも痙攣していた
25/06/11 08:32更新 / 南米こむすび



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