ポエム
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あまりに寝つきが悪かったので
僕は夜の公園を徘徊していた

ふと何かの気配を感じて
歩み寄ると不思議なことに
洒落た木の枠にはまった
古い鏡が 木々の間にたてかけてあった

その鏡の中の自分は 普段とは違って見えた
異様に肌が白く 目は木目のように虚ろだった
でも夜の屋外ならそういうものかも知れない
その時僕はそう思った

何かの拍子に (今となってはよく覚えてないが)
鏡に手をつこうとしたときだった

あろうことか 手は虚空を貫いて
僕は前のめりにつまずいてしまった
手が地面についた瞬間
悪寒がブワッと背筋を走った

最初から木の枠だけしか
そこにはなかったのだ
つまり鏡はなかった

枠の向こうにいたのは
一体何だったのだろう

すると どこか遠くで
ひっひっひっ と笑う声がした

今まで生きてきて 一度も聞いたことのない
奇異な声色だった
生まれたばかりの赤ん坊のようでもあり
死期の迫った老人のようでもあった

その場から足早に逃げだそうとすると
足音もなく笑う声だけが
浮遊するように近づいてきた

ひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっ
ひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっ
ひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっ
ひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっ
25/07/02 00:18更新 / 南米こむすび

■作者メッセージ
最初の分だとわかりにくいと思ったので手を加えました
エドガーアランポーをイメージしました
これは詩じゃないですね

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