水の中の幻想
水しぶきにつられて 君がはしゃぐ
それ以上の意味など要らない日々だった・・・。
二人で笑い合っていた なにも知らないころの僕ら。
僕は君の本能を知る前に君から去ってしまった。
小さい頃から憧れていた 魂が燃えさかる恋
僕の幻滅が伝わって水滴のように散っていった。
川の向こう岸から君が手を振って
感傷に浸っていた僕を打ちのめす
二人でもがきあった時間が 氷の時計に思えた。
出会った日の期待が いびつな形で崩れていく
水の中から突然でてきた人影を
君だと錯覚して 僕の意識は霧の中へかすんでいった。
それでも 僕が君に手を差し伸べて
びしょびしょの人生に大きな明かりが灯った
間違いなど ただの一雫もなかったと思える
僕が海の底に沈んでいく日が来るまで後悔することはないだろう。
そして君と出会えたことを誇りに 次の生に向かう。