3人目のテロリスト
村に凱旋した3人のテロリストたちを待ち受けていたのは来世の審判ではなかった。
破壊神による執拗な裁きでもなかった。
2,3のまばらな喝采を受けただけだった。
テロリストの一人はその場で自分のこめかみに向けて発砲した。
もう一人はこれは夢だとつぶやいて崩れ落ち、意識が戻る前に灰となった。
-村を滅ぼしてやる、そして英雄的行為をした正当な報いを受けしめさせよ-
3人目のテロリストは自ら破壊神になる決意をした。
喝采を送ったひとりの村人に銃口を向けた。
3人目は幼年時に迫害を受けた過去を思い出し、無造作に発砲した。
村人の最後の喝采は呪詛となって3人目を刺激した。
3人目は村長の家に押し入ってガソリンをまき、その流れに怨嗟の火をつけた。
すべては英雄的行為を跳ねつけた村とその象徴に裁きを与えるために。
3人目は高笑いを浮かべながら、炎の中に包まれていった。
こうして3人目は自らに来世の審判を受ける権利を与え、英雄的行為の正当なむくいを受けたのだった。