ポエム
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夢を見たあとに



そのラインが僕を打ちのめした。

僕は部屋を飛び出して、あてもなくさまよい歩いた。


気づくと小さなグラウンドの前に来ていた。

中に入ると目の前で子どもたちが野球の試合をしているようだ。

僕はそれを見るともなくグラウンドのベンチに座ってうつむいた。

ほどなく横になった僕はそのまま眠ってしまった・・・。


こんな夢を見た。


僕は右手にグラブをはめてボールを追っているらしい。

思う間もなく何者かがバットを振り、僕のもとにボールが飛んできた。

僕はふるえる足どりでボールを取ろうと左へ走った。

そのままボールに手をのばしたがボールは僕の左を転がって行き、僕はそのままグラウンドに倒れこんだ。

僕が左膝を立てて起き上がろうとすると間もなく次の打球が繰りだされた。

今度は僕の正面だったが、その強い打球に僕はボールをグラブで弾いてしまった。

ボールは僕の右の方へ飛んでいった。

僕は涙目になってボールが飛んでいった方向をにらんだ。

それからなにかを叫ぶと、ふたたび打球が放たれる方に向きなおった。



と思うと間もなく目が覚めた。

両目から涙がこぼれていた。

僕にも今の僕がどこかに置き忘れてきた悔しさを感じながら何かに必死で取りくんでいた時期があったらしい。

僕もまた捨てたものでないのかもしれない。

僕は、彼女とやり直したい、と思って進んで来た道を全力で走って引きかえした。

それから部屋に戻ると、スマートフォンを強く握りしめながらラインを起動した。



20/05/26 08:00更新 / 毛糸



談話室



■作者メッセージ
小説なんだか詩なんだかよくわからない作品になりました。

言わずもがなですが、作者にこの作品で描いたような経験はありません。
(ちなみに作者自身は右利きです。)

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