ポエム
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人魚の憂鬱
私は歌う
尾をくねらせて
水底からあなたへ

祈りの糸は
迷い子の勇気をふるい
運命をたぐる

歌は水面を撫でて這い
水上の仮面舞踏会は
盛況でがらんどう
ながらくそうだった

名前を名乗らない色香が盗まれ
エロスを加速させたのは遠い日

それはメビウスの輪に似た
最果ての水銀都市の満員電車でもあった

何度も脳に指が差し込まれる

純情は揮発する

日々は早回しの時計で
盲目の決済をする

地下市場では人魚の鱗は霊薬として
闇の高値で取り引きされる

潮の匂いに混ざり
宴はたけなわ
でも私はそろそろ夕立を待っている

夕立の後に
太陽に煮られたい

足を手に入れて靴を履くならと
私は歌い疲れ
鱗はあらかた失われた

ここはそんな砂上の楼閣を
重い目蓋に載せた
傷ついた母なる海だ

母はいつも傷つき黙るだろう
私は私の老いた母を思い出す
人魚属の女たちよ
瘡蓋のように愛を庇って














25/12/30 01:46更新 / 湖湖

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