私さ
誰にも言えない秘密の悩みがある

それは洋服の下に隠れた人面疽で
痛くてせむし女のように醜く厄介なんだ

でも私は孤独だから
その人面疽とお喋りしたくて
人面疽の面倒を見てる
人面疽は私を支配して
恋人のフリすらするんだ

私は知恵遅れで判断力が鈍くて
人面疽の存在に依存している
愛の絆を夢想している
友情を信じたい

離そうにも癌化した肉組織が
健康な皮膚に噛み込んでいて離れない
冬虫夏草みたいだなとも思うし
纏足みたいにも思う

昔、釣りに行ったときに
サッパという20センチ位の雑魚が釣れたんだけど
頭に頭と同じくらいの大きさの寄生虫が
数匹喰らいついていたのも似ているなと思う

グロいんだよ
それでいて人面疽はダイヤモンドの歯を持っていて
雄弁で、気のせいか、輝く時がある

そんな感じの人に言えない辛い秘密が有る

それは暴力とセックスと病気の陶酔が混ざった
ノイズ音楽が止まらない感じ
ロバが人参で釣られて走り続ける
自尊心はヤク中のようにメタメタ

地下室に変質者に閉じ込められた女が
闇の中で男に抱かれて感じて孕む感じ
憎いのに扉が開くのを心待ちして
男の美質を数えはじめる
例えればそんな感じ
手首と膝から切断され
首に鎖をつけられた人間の犬ペットを思う

時々、苦しくて死にたくなるよ
マンションから飛べばいいだけだから

■作者メッセージ
実際はなにかは教えられません。聞かないでください。
ここで書けば浮いて気持ち悪がられるだけなのにね。
小さな悲鳴の代わりに。
これは詩じゃないね。詩は美しいものです。