峠の魔女
峠の魔女は海が恋しかった
それは湖に眠る女の夢だろう
焦がれる潮の匂い
羽を持った手紙が飛んでこないのか?
峠の魔女は魔法を使い
水底に竜宮城を作って客をもてなした
山海の珍味を集め、
ひっきりなしに贅を尽くした膳と楽の音を興せば、
奔流のように世界各国から訪れた風変わりな旅人たちよ
荒々しくも死を恐れぬロマンチストのロシア人の金髪碧眼
好色なアラブの商人は
目が痛くなるほど白いクルタパジャマを風に煽られながら、
鷹に似た人攫いの目をして、
人差し指にゴロリとした、
ダイヤモンドの指輪をしていた
そして女主人のジョークに高らかに笑った
そして黒い瞳の者たち
宴は延々と続いた
そこは朝の無い世界
あぁ、不思議な水底の光るプリズム、
かすかに白檀の香りの漂う酒池肉林と胡座をかく女主人
充満するのは実は失いかけていた憧れだったか、
厳かに永遠の夏の夢を火種にし
その甘い影が瞼にかかる陶酔のくらくらした繰り返し
その前触れに立ち止まれ、
痺れる愛の予感の歌が
風に飛んでいく楽譜のよう
とこしえの夢よ
病と孤独に捧げた微笑みよ
この世界の美に憧れに
手向けた一輪の花、祈りよ
汚濁と失意の中でなお燃え上がれ、
生きることの愛よ
余談ながら、
実はこれはひとつの菓子折りなのだ
あなたに微笑むために
泣くのを止めるために
それは湖に眠る女の夢だろう
焦がれる潮の匂い
羽を持った手紙が飛んでこないのか?
峠の魔女は魔法を使い
水底に竜宮城を作って客をもてなした
山海の珍味を集め、
ひっきりなしに贅を尽くした膳と楽の音を興せば、
奔流のように世界各国から訪れた風変わりな旅人たちよ
荒々しくも死を恐れぬロマンチストのロシア人の金髪碧眼
好色なアラブの商人は
目が痛くなるほど白いクルタパジャマを風に煽られながら、
鷹に似た人攫いの目をして、
人差し指にゴロリとした、
ダイヤモンドの指輪をしていた
そして女主人のジョークに高らかに笑った
そして黒い瞳の者たち
宴は延々と続いた
そこは朝の無い世界
あぁ、不思議な水底の光るプリズム、
かすかに白檀の香りの漂う酒池肉林と胡座をかく女主人
充満するのは実は失いかけていた憧れだったか、
厳かに永遠の夏の夢を火種にし
その甘い影が瞼にかかる陶酔のくらくらした繰り返し
その前触れに立ち止まれ、
痺れる愛の予感の歌が
風に飛んでいく楽譜のよう
とこしえの夢よ
病と孤独に捧げた微笑みよ
この世界の美に憧れに
手向けた一輪の花、祈りよ
汚濁と失意の中でなお燃え上がれ、
生きることの愛よ
余談ながら、
実はこれはひとつの菓子折りなのだ
あなたに微笑むために
泣くのを止めるために
25/08/11 23:09更新 / 湖湖