宿屋
昔、宿屋をやっていました
女主人として
お客様を懸命にもてなしたものです
贔屓にしてくださる、皆様は
美青年ばかり
お友達と呼ばせて頂いて
宿屋には詩が香水として
撒かれていました
砂上の楼閣は透けて
光と甘みと音楽の予感に溢れていました
私はよくまかないのインドカレーを振る舞いました
しかしある時、お客様のなかの
一人の少年が宿屋に火を放ったのです
宿屋は焼け落ち、跡形も無くなりました
私には借金と醜い火傷の跡が残ったのです
火事の現場は雨に濡れた家財が
今でも炭として燻り
その灰色の空の上を亡霊が飛び交っています
女主人として
お客様を懸命にもてなしたものです
贔屓にしてくださる、皆様は
美青年ばかり
お友達と呼ばせて頂いて
宿屋には詩が香水として
撒かれていました
砂上の楼閣は透けて
光と甘みと音楽の予感に溢れていました
私はよくまかないのインドカレーを振る舞いました
しかしある時、お客様のなかの
一人の少年が宿屋に火を放ったのです
宿屋は焼け落ち、跡形も無くなりました
私には借金と醜い火傷の跡が残ったのです
火事の現場は雨に濡れた家財が
今でも炭として燻り
その灰色の空の上を亡霊が飛び交っています
25/05/28 01:34更新 / 湖湖