ポエム
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雪国の
記憶の雪国よ
一面真っ白な雪の
しんしんと降りそぼる

おちこちの高みに灯る柿が
燃えてひもじい者達に捧げられる

つららは美しい透明の剣
舐めると変な味
恐竜の牙
ポキポキ折る楽しみ

かまくらを作るチャレンジの一刻
舞い降りて
毛糸帽子や睫毛にふわり
ああ、なんて胸を打つ雪印の
幾つもの紋様よ

石油ストーブの上で焼いた
アルミホイルでくるんだ焼き芋が焦げる匂い

こたつを狙う鍵尻尾の白猫、玉の
瞳は青と黄色で、その
おてんばさは子供心に惚れ惚れした

広い庭にスキーの傾斜を雪で作り滑った

古いバラの樹に三枚おろしした、
ハマチの骨をタコイトでぶら下げ
カラスを釣った記憶のワクワク
カラスはちゃんと持っていったけど

生ゴミが二十袋位貯まってしまい
母に捨てるよう頼まれた
近道を選んだつもりで雪原を横切ったら
雪に嵌まり手間取り遅刻したこと
お手伝いで遅れたと教師に申告したら
クラスのみんなの前で褒められ
ばつが悪かったなあ

根雪が硬く汚いこと
雪掻きが大変なこと

樹氷とその枝をすくダイヤモンドダストに
光と雪に祝福されるスキーリフトの上で
眺めては見つけた獣達のかわいい足跡

音を吸い込む無音の雪原に寝転び
尺度の感覚を忘れて巨人になった気がした

あの自由な幸福な少女よ
私はおまえを惜しむ









25/04/14 01:59更新 / 湖湖



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