琺瑯(ほうろう)のバット
我が家のキッチンの棚には古い琺瑯のバットがある
琺瑯の白が少し剥げていて
青い縁取りがある
半世紀近くも、もう使っていて
その頃のグラスやマグなども残っていないから愛おしい
使い始めた私が赤ちゃんの頃は
海際の湘南に住んでいた
だからバットは潮騒を孕んでいる
それから何度も引っ越しし、
長い時間を掛けて家族の群像が入れ替わり立ち替わり
時には事件があり、家族の愛憎があり、別れがあり、
そして、死があった
琺瑯のバットは若かった母がよくポテトサラダを作っていた
ハンバーグを作っていた
懸命に料理をする母を記憶している
古びたバットはいつか終わりが来、皆滅びることを暗示させる
生きるのは何か哀切だな
ありがとう、我が家のバットよ
古道具として妖怪になるかい?
琺瑯の白が少し剥げていて
青い縁取りがある
半世紀近くも、もう使っていて
その頃のグラスやマグなども残っていないから愛おしい
使い始めた私が赤ちゃんの頃は
海際の湘南に住んでいた
だからバットは潮騒を孕んでいる
それから何度も引っ越しし、
長い時間を掛けて家族の群像が入れ替わり立ち替わり
時には事件があり、家族の愛憎があり、別れがあり、
そして、死があった
琺瑯のバットは若かった母がよくポテトサラダを作っていた
ハンバーグを作っていた
懸命に料理をする母を記憶している
古びたバットはいつか終わりが来、皆滅びることを暗示させる
生きるのは何か哀切だな
ありがとう、我が家のバットよ
古道具として妖怪になるかい?
25/02/28 13:15更新 / 湖湖